コラム RPAテクノロジーの将来について知っておくべき3つの重要事項

本記事はAutoMate製品開発元Helpsystems社の記事を翻訳したものです。

ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)は、かつての手動プロセスを合理化し、人間の従業員の負担を軽減することで組織の運営方法を変革しています。RPAは、業務システムやアプリケーションと通信し、拡張性の高いデジタルワークフォースを活用することで生産性を向上させる技術です。RPAソフトウェアは、ヘルスケア、金融サービス、保険、人事、コールセンターの自動化など、業界や機能を問わず爆発的に成長しています。

RPAテクノロジーは、データ管理、ITサービス、請求書処理、およびその間のすべてに対する請求処理やコールセンターサポートなどのタスクを自動化できます。自動化の機会は、ビジネス全体のほぼすべての場所に存在し、組織のパフォーマンスと効率を向上させます。

進化するRPAテクノロジーの展望

最近のForrester社の調査では、RPAテクノロジー市場において、「40%以上の企業がAI(人工知能)とロボティック・プロセス・オートメーションを組み合わせることで、最先端のデジタルワーカーを生み出すだろう」と予測しています。この驚くべき成長は、特定のプロセスを自動化しソフトウェアボットによってより効率的かつ正確に実行できる反復作業において、ヒューマンワーカーへの依存を減らすという、ビジネス戦略全体の驚異的なシフトを示唆しています。

また、Deloitte社のレポートによると、従業員が行う業務の最大50%が反復作業、管理業務、および労働集約型だと考えられているため、2025年までにRPAテクノロジーによって反復作業の最大16%を代替し、労働力をより戦略的な業務に集中させられることができるようになると指摘しています。この変化は、RPAテクノロジーが今後も普及し続けることを示しています。

しかし、ビジネスリーダーやITチームは、この大規模なシフトに対応できているのでしょうか。世界のデータおよびアナリティクス関連の意思決定者を対象に行なったForrester社の調査によると、回答者の25%が「自社の自動化に関する全体的なビジョンや戦略が欠けている」と述べ、さらに25%が「組織構造、連携、準備にギャップがある」と考えていることがわかりました。Forrester社は、これは組織全体で異なった自動化を使用していることが原因であると結論づけています。今後、一元化された拡張性の高いRPAテクノロジー(小規模な構成から初めて、時間をかけて拡張することができる)が必要不可欠であることは明らかです。

RPAは、今日のビジネスの本質を変えつつあります。そして、今世紀中に自動化が加速するにつれ、組織はRPAテクノロジーの未来がどのように進化し続け、ワークフォースに影響を与えるかについて準備をしていく必要があります。この点を念頭において、RPAテクノロジーの今後について、ビジネスで知っておくべき3つの重要事項を紹介します。

1. RPAテクノロジーは今後も爆発的に成長する

Gartner社によると、RPAソフトウェアは過去2年間で最も急速に成長したソフトウェア分野の1つとして認識されており、60%以上の成長率を記録しているのに対し、エンタープライズソフトウェア市場全体の成長率はわずか13%でした。また、別の推計によると、2025年までに90%以上の企業がオートメーションアーキテクトを持つことになり、現在の20%未満から増加すると言われています。

では、このような成長が続いている主な理由はなんでしょうか?まず、最も予期せぬインパクトを与えたのが、新型コロナウイルスによる混乱で、今後RPAの導入が驚異的に加速する原因となっています。Gartner社の最近の調査結果によると、財務担当役員全体の約4分の1(24%)が、リモートワーク環境とルチーンワークを従業員に任せられない状況に対応するため、「RPAにより多くの資金を投じる予定」だと回答しています。

RPAテクノロジーが将来成長するもう1つの理由は、デジタル処理の最適化で自動化が進化することです。Gartner社の予測によると、「今後数年間で自動化の範囲は“静的で厳格なルールに基づく個別のタスクとトランザクション”からナレッジワークの自動化へと進化していくでしょう。そのためには、ITインフラから顧客向けアプリケーションまでのデジタルプロセスの最適化に焦点を当てた、新たな自動化戦略が必要になるだろう」と述べています。RPAテクノロジーの幅が広がるにつれて、ITチームは戦略をビジネス全体でのRPAの導入ペースに合わせて調整する必要があります。

2. インテリジェンスが自動化を根本的に変える

今日のビジネス環境において、RPAはルーチンワークの自動化に極めて適しています。しかし、人工知能や機械学習、演繹分析、予測分析が導入され、自動化によって洗練されていくにつれ、RPAはより高度で複雑な作業をこなすようになり、人間の能力を補強して組織全体の意思決定を強化するようになるでしょう。

ForresterやErnest&Young (EY)などの組織によるインテリジェント・オートメーション、Gartnerのハイパーオートメーション、IDCのインテリジェント・プロセス・オートメーションなど、RPAと連動して統合されたインテリジェンスは、ビジネス内で自動化できるプロセスの幅を広げることが可能になります。つまり、インテリジェント・オートメーションでは、ツールや機能全体で自動化されたプロセスのライフサイクル全体を考慮し、総合的な複雑さに関しても考慮します。

また、インテリジェンスによって自動化を強化することは、大幅な組織のコスト削減にもつながります。実際、Gartner社によると、自動化とインテリジェンスを活用する企業は、2024年までに運用コストを30%近く削減できると予測しています。インテリジェント・オートメーションがもたらす進歩により、RPAテクノロジーはあらゆるビジネスプロセスを自動化および統合し、組織に持続的な価値を推進する上で、今後もますます重要な役割を果たし続けるでしょう。

3. 自動化戦略には総体的な連携が必要

デジタルトランスフォーメーション(DX化)に取り組む企業は、補完的な自動化戦略を活用し、将来に向けた包括的でスケーラブルなアプローチを確実に活用する必要があります。今日のRPAテクノロジーは、フロントエンドまたはユーザーインターフェイス(UI)レベルでの自動化と考えられていますが、バックエンドの自動化(API自動化と呼ばれることもある)は、APIを活用し、具体的に定義された大容量のトランザクションを実行するものです。今後、UIとAPIの両方の自動化を活用することで、企業はアプリケーションを統合し、より堅牢な自動化の展開を実現できるようになります。

将来に向けたもう1つの重要な自動化戦略は、RPAとBusiness Process Automation (BPA) を理解し、互いに補完し合う形で利用することで、ビジネスプロセス全体に自動化を拡張することです。BPAの鍵は「プロセス」であり、ファイルの転送、レポートの作成、非構造化ソースからのデータの抽出など、組織内でかなりの時間を要する反復可能なプロセスを、一元的に自動化することです。BPAソフトウェアでは、プロセスの各ステップで次のステップを自動的に開始し、ビジネス全体のワークフローを作成します。

RPAは個々の作業をソフトウェアロボットに任せるのに対し、BPAはビジネスプロセス全体を引き継ぎ、最初から最後までを自動化します。企業がフロントエンドのRPA技術とバックエンドのAPI自動化の両方をBPAと組み合わせて、ビジネスをDX化する方法は将来的に非常に興味深いものです。RPAとBPAの連携は無限の可能性を秘めており、単独で行うよりも高い効率性を実現します。

適切なRPAテクノロジーで自動化をはじめよう

RPA技術の将来は非常に明るいものですが、圧倒されしてしまう可能性もあります。まずは小規模な構成から始めて、組織内のプロセスを自動化するのに最適な場所を特定し、後から規模を拡大するほうが最適な場合もあります。まずは、より価値のある作業時間を大量の反復作業によって奪われてしまっているプロセスを見つけ出すところから始めましょう。例えば、レポート作成および資料配布、従業員の入社手続き、請求処理やその他の重要作業などです。最終的に、RPAを導入するかはあなた次第ですが、自動化がこれまでに果たしてきた変革的な役割と今後も果たし続けるであろう役割を理解し、組織と共に成長できる堅牢なRPAソリューションを見つけることは、今後の計画を立てる上で極めて重要です。
HelpSystemsは、生産性の向上、運用コストの削減、精度の向上、フロントエンドとバックエンドの機能全体にわたる効率化を実現するエンドツーエンドの自動化ソリューションとして、AutoMateを提供しています。

■業務自動化ツール「AutoMate」については下記をご参照ください。
https://automate.sct.co.jp/products/reason/