米国のある児童書出版社には、5つの出版部門と、電子書籍を配信するためのオンラインデータベース部門があります。同社では現在、年間約2,000タイトルを発行し、再販業者を通じて電子書籍の配信を行っています。
最近、電子書籍を配信してくれる再販業者の数を6社から30社近くに増やし、さらに従来のPDFファイルに加えてePubファイルの配信も開始しました。再販業者を増やし、電子書籍のフォーマットの種類も増やしたのは、電子書籍市場における書籍の販売が伸びているからです。
しかし、電子書籍を配信するためには、紙書籍のさまざまな情報(「メタデータ」と呼ぶ)を電子書籍用に変換する必要があります。これは、書名・著者名・発行所・ISBN番号・表紙画像・ページ数などの情報を、電子書籍用のシートに転記・記載していく作業です。電子書籍用のシートは、再販業者ごとに独自のフォーマットがあり、出版社はそれに合わせて書籍メタデータを作成する必要があります。
従来は、この作業を手作業で行っていました。そのため、書籍のタイトルが増え、再販業者が増えたことによって、バックログの蓄積が顕著になっていました。
同社の電子書籍の制作チームは7人で構成されています。電子書籍の再販業者がまだ少数であった時は、7人でメタデータの作成から画像、およびファイルの選別などを手動で行えていましたが、最近はそれがひっ迫しているのです。
電子書籍のファイルをコンパイルしてメタデータを収集するのに必要な時間は、制作チーム一人ひとりの時間を拘束します。これは大きな負担で、負担を軽減するための解決策がなければ、作業のバックログはたまる一方でした。