シリーズ|新型コロナとRPA(5)~NTTデータ経営研究所のテレワーク/リモートワーク利用実態調査、など

米国では在宅勤務の大規模な実験が進行中
コラボレーション・ベンダーの売上も急増

 

前回(4)の終わりに、「新型コロナの流行とそれに対処するための外出制限措置は、「非対面」と「無人化」のニーズを惹起した」という日本総研の指摘を紹介しました。そしてそのニーズは、「①個人の行動がオフラインからオンラインへシフト、②人間が行っていた作業を機械やロボットが代替」という動きを加速させる形で「顕在化している」というものでした(「新型コロナ禍が促す企業のデジタルトランスフォーメーション」)。

日本総研は「①個人の行動がオフラインからオンラインへシフト」の代表例として、

・買い物:Eコマース、オンライン配送
・仕事:テレワーク
・学習:オンライン学習
・余暇:オンライン・ゲーム、eスポーツ、オンライン飲み会
・医療受診:オンライン診療

を挙げています。これらはごく身近に起きていることであったりニュースなどでも頻繁に取り上げられているので、わかりやすい例ではないかと思います。

このうち「テレワーク」は、今回のコロナ禍を機に世界でも急速に利用が進んでいるようです。2020年2月28日付けのWall Street Journal(英語版)は「(米国では)在宅勤務の大規模な実験が進行中」と、テレワークの急激な普及を伝えています。

また調査会社IDCは、ベンダー側の動きとして次のような数字を紹介しています(「COVID-19 First Response」2020年3月)。

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・Cisco Systems:30%+ top global enterprises have asked for help scaling remote work
・LogMeIn:20% spike in daily usage of GoToMeeting worldwide
・Microsoft:500% increase in Teams meetings, calls, and conference usage in China, February through early March 2020
・PGi:19X surge of free sign ups in impacted countries
・Zoom:2020 Zoom new users as of March exceed 2019 totalnew users as of March exceed 2019 total

・シスコシステムズ:30%以上のグローバル企業がリモートワークの拡大に協力を求めている。
・LogMeIn(米国のコラボレーションソフト/クラウドベンダー):GoToMeetingの毎日の利用が世界中で20%増加。
・マイクロソフト:2020年2月~3月上旬の中国において、Teamsのミーティング・電話・会議の利用が500%増加。
・PGi(コラボレーションツールの世界的ベンダー):新型コロナの影響を受ける国で無料サインアップが19倍の増加。
・ズーム:2020年3月現在の新規ユーザー数は、2019年通年の合計を上回った。

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パーソル総研とNTTデータ経営研究所の
2つのテレワーク調査

 

日本におけるコロナ対策としてのテレワークの利用状況は、パーソル総研とNTTデータ経営研究所がそれぞれ調査を実施しています。

パーソル総研の調査報告「新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査」(4月17日発表)はこちら

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NTTデータ経営研究所の調査報告「緊急調査:パンデミック(新型コロナウイルス対策)と働き方に関する調査」(4月20日発表)はこちら

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本コラムではNTTデータ経営研究所の調査結果を紹介しますが、パーソル総研の調査結果では、

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緊急事態宣言後、正社員のテレワーク実施率は、全国平均で27.9%。3月半ばの時点では13.2%であり、1カ月で2倍以上となっている。国勢調査に基づく簡易推計では、1か月間でテレワークを行っている人は約400万人増加し、約760万人がテレワークを実施していることになる。
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という興味深い推計もあり(下図表)、ぜひ一読されることをお勧めします。

 

2020年4月時点で2倍以上の企業が
テレワーク/リモートワークに取り組む 

 

NTTデータ経営研究所4月7日(火)~10日(金)に実施した「緊急調査:パンデミック(新型コロナウイルス対策)と働き方に関する調査」では、「(テレワーク/リモートワークへの取り組みは)2020年4月時点で、2020年1月まで(18.4%)と比べ、2倍以上の企業(39.1%)が取り組んでいる」という急速な普及が明らかになっています。

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2020年4月の時点で全体の半数以上の企業が働き方改革に取り組んでいる一方で、テレワーク/リモートワークに取り組んでいる企業は約4割である。

2020年2月以降は、毎月6.5%以上取り組み企業が増加し、2020年1月までと比べ、2020年4月の時点で2倍以上の企業がテレワーク/リモートワークに取り組んでいる結果となった。

全体で2018年以前からテレワーク/リモートワークを開始している企業は13.0%、2019年4月~2020年1月で開始した企業は5.4%であり、あわせて18.4%だったのに対して、2020年2月以降は毎月6.5%以上増加。

2020年4月時点で、2020年1月まで(18.4%)と比べ、2倍以上の企業(39.1%)が取り組んでいる結果となっている。

2020年4月時点で、1,000人以上の企業で61.7%がテレワーク/リモートワークを開始している一方で、100人以上1,000人未満の企業では35.1%、100人未満では22.2%にとどまっている。

ただし、100人未満の企業は、2月以降の増加により4月の時点で1月までと比べると3倍以上の企業がテレワーク/リモートワークに取り組んでいる。

出典:NTTデータ経営研究所

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2020年1月-同4月の対比で
「ほぼ毎日」は約12倍  

 

またテレワーク/リモートワークの利用頻度については、「2020年1月までの利用頻度と2020年4月の利用頻度を比べると、約12倍の従業員が「ほぼ毎日」テレワーク/リモートワークを利用」という結果を示しています。

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2020年1月までは会社としてテレワーク/リモートワークに取り組んでいても、半数以上の従業員が「ほとんど利用していない」状況であったが、2月以降、毎月「ほぼ毎日」利用する従業員が増加。

2020年1月までの利用頻度と2020年4月の利用頻度を比べると、約12倍の従業員が「ほぼ毎日」テレワーク/リモートワークを利用している結果となっている。

4月の時点で「ほぼ毎日」テレワーク/リモートワークを利用している人は31.6%、週に3-4回以上利用している人は19.6%であり、あわせて週に3-4回以上利用している人は51.2%である。

月に1-2回は6.6%、ほとんどなかった25.2%であり、あわせて月1-2回以下は31.8%である。

出典:NTTデータ経営研究所
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テレワーク/リモート用ツールの
利用も約2倍  

 

テレワーク/リモートのためのツールの利用も増加しています。調査では、次の5つカテゴリーに分けて利用状況を把握しています。

・データやソフトウェアに外部からアクセスするツール
・電子メール以外のテキスト(文章)によるコミュニケーションツール(ビジネスチャット、LINE、Slack)
・オンライン会議ツール
・プレゼンス管理ツール(在籍、離席、会議中、外出中)
・スケジュール、タスクやプロジェクトの管理ができる業務管理ツール

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データやソフトウェアに外部からアクセスするツール(リモートデスクトップ方式、クラウドアプリ方式、VPN方式等)、電子メール以外のテキスト(文章)によるコミュニケーションツール(ビジネスチャット、LINE、Slack等)やオンライン会議ツールの利用は、毎月増加しており、2020年1月までと比べると4月時点では約2倍となっている。

出典:NTTデータ経営研究所
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テレワーク/リモートワークは
今後も使い続けられ、定着する 

 

今、世界では「New Normal」(ニューノーマル)という言葉がさかんに使われるようになっています。その意味は、新型コロナが収束したとしても新型コロナ以前に戻ることは決してなく、これからは新しい衛生観念を背景にした新しい事業モデルや新しい業務形態が必要な世界になる、くらいの内容でしょうが、それを「新型コロナのようなパンデミック/感染症流行を前提とした社会」と言い換えれば、新型コロナ対策として普及しつつあるテレワーク/リモートワークは、今後も利用され続け、業務の、あるいはビジネスのNew Normalの1つのアイテムとして定着することが想像されます。

今回の冒頭で触れた、「個人の行動がオフラインからオンラインへシフト」(日本総研)を、業務の視点で、従業員と従業員、従業員と顧客、従業員と取引先に分け、それぞれのオンライン上のやり取りで使用されるツールに落とし込み、図表化してみました。

どれも目新しいものはなく、すでに馴染みのあるツールばかりでしょうが、これをNew Normalの観点で「常に利用するもの」「新しい業務モデル」上のツールとして利用する場合は、まだまだ考慮すべき点が多々ありそうです。そうした課題・問題は、パーソル総研とNTTデータ経営研究所のそれぞれの調査でも指摘されています。この点については、先々のコラムで触れる予定ですが、これからのRPAを考える背景・前提として、オンラインへのシフトがすでにリアルに進んでいることを確認しておきたく思います。

 

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次回は、日本総研が指摘する「人間が行っていた作業を機械やロボットが代替」について見てみようと思います。(2020.5.12)

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