シリーズ|新型コロナとRPA(1)~RPAはどのような認識の下に活用すべき?

 

新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の広がりが、日本においては依然として衰えを見せていません。政府は近日中にも「緊急事態宣言」の延長を発表する、という報道もなされています(5月4日に「5月31日までの延長」を発表|2020.5.6追記)。事態はまったく予断を許さず、先行きは目先のことさえ不透明です。

そうした中にあって、新型コロナ「後」の状況に関する予測や観測が多数登場しています。その中には、RPAについての見方や活用に大きな影響を及ぼすと思われるものが、少なからずあります。

このコラムでは、そのような予測・観測・提言・考えなどに触れながら、新型コロナ「後」のRPAについて考えてみたく思っています。その理由は、この1カ月間に新型コロナに関して読み・聞きしてきたことを総合すると、新型コロナ「後」にはRPAを含む自動化の導入・活用が、これまでとは少し違った様相で、これまで以上に切実になると強く推定されるからです。ただし新型コロナの状況は時々刻々と変化していますので、本コラムは断続的な掲載となりますことを、あらかじめご了承をお願いします。

新型コロナに関する予測・観測・提言・考えは、医療関係者だけでなく、政治家、経済学者、経営者、社会学者、コンサル会社・調査会社、哲学者、アクティビスト(社会活動家)などからも精力的かつ継続的に発信されています。もちろんIT企業・関係者からの発信も少なくありません。それらは既に膨大な数といってもよく、その中から本当に価値のある、今後の参考になりそうな情報を見出すのは、そう簡単ではありません。

そこで、今どのような事態が進行しているのかを確認するために、最初に基本的な情報を共有しておきたく思います。2つの情報を参考にします。

 

京都大学iPS細胞研究所所長・山中伸弥教授のまとめ

 

1つは、京都大学iPS細胞研究所所長の山中伸弥教授の発信です。先生は、自身が開設したサイト「山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信」(サイトはこちら)上で、「証拠(エビデンス)があり、正しい可能性が高い情報」として以下をまとめています。ほかに、「正しい可能性があるが、さらなる証拠(エビデンス)が必要な情報」「正しいかもしれないが、さらなる証拠(エビデンス)が必要な情報」という区分もあり情報の正確度を明示している点で信頼がおけ、参考になります。

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(病態)
・国、地域により致死率異なる
 クルーズ船、日本、韓国:約2%、ドイツ、2.2%
 アメリカ:3.8%、中国:4%、
 スペイン、フランス:10%、イタリア、イギリス:12%
・重篤化(集中治療室での治療・人工呼吸器が必要)の割合も国より異なる。
 クルーズ船:2.8%、日本:4%、中国:5%、イタリア:12%
・感染後、症状が出るまでの潜伏期間は1から17日とばらつきがある(平均は5~6日程度)
・感染しても30~50%では症状が出ない
・感染してもPCR検査で陰性となる場合がある
・発症しても多くの場合は発熱や咳などの軽症
・高齢者や持病を持つ患者を中心に一部の患者では肺炎等で重症化、致死率も高い

(感染)
・感染力(基本生産数)は、まだ確定していない。
・咳等の飛沫とドアノブ等を介しての接触で感染する。
・集団感染(クラスター)が世界各地で報告されている。
・クラスター以外(家庭内など)でも感染する。
・症状がなくとも、他の人に感染させる場合がある。

(対策)
・手洗いやマスクしていても感染することがある。
・ワクチンはまだ開発されていない
・効果の証明された治療薬はない
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RPA

◎「山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信」サイト

 

国立感染症研究所による新型コロナのゲノム分析調査

 

もう1つは、国立感染症研究所が4月27日に発表した「新型コロナウイルスSARS-CoV-2のゲノム分子疫学調査」の中の指摘です。この調査は、世界の新型コロナ感染症患者4511名のゲノム情報と、国内の新型コロナ感染症患者562名のゲノム情報を基に分析したものです(調査報告はこちら)。次のような指摘があります。なお下の図表は、同レポートに添付されている変異した塩基ごとの国内伝播の状況を示したものです。

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「SARS-CoV-2の変異速度は現在のところ25.9塩基変異/ゲノム/年(つまり、1年間で25.9箇所の変異が見込まれる)と推定されている。2019年末の発生から4ヶ月ほどの期間を経てゲノム全域に少なくとも9塩基ほどの変異がランダムに発生していると示唆されている」

「2019年末の中国・武漢を発端とする新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は2020年1月から2月にかけて国内に侵入し、地域的な感染クラスター(集団)を発生させた。(中略)。この中国からの第1波による感染クラスターを抑え込みながらも、世界では3月初旬からヨーロッパおよび北米で感染拡大と感染爆発の傾向がみられ、日本においてもヨーロッパ株を基点にしたSARS-CoV-2株が検出された。その後、日本での3月における行動制限が不十分な中、大都市圏での感染拡大を発端に全国各地へ“感染リンク不明”とされた孤発例が多数検出されるようになった」

「現状、収束の見込みはあっても終息までにはさらなる研究開発が必須であり、時間を要すると思われる。第3、第4の波が来ることは必然(以下、省略)」

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RPA AutoMate

 

「もう元の世界には戻れない」と野口悠紀雄氏

 

山中先生のまとめと国立感染症研究所のレポートから、次のようなことが言えるだろうと思います。

・感染力の高さと重篤化・致死の恐れ
・無症状・軽症者の一定数の存在(30~50%)
・症状がなくても他人にうつす(感染させる)場合がある
・ワクチンはまだなく、終息まで長期化が見込まれる
・日本において感染流行の第3波・第4波は必ずくる

そして以上のようなことがあるために、私たちは今、行動制限を強いられ、ソーシャルディスタンスを求められ、在宅勤務を促され、営業自粛を要請され、企業活動の停止・停滞・延期を余儀なくされている、と言えるかと思います。

そしてさらに、「もう元の世界には戻れない」(経済学者の野口悠紀雄氏*1)、「緊急事態が終わっても、世界は以前と同じような姿ではないだろう」(グーグルCEOのスンダー・ピチャイ氏*2)という、新型コロナによる世界の変容を占う観測がじわじわと広がりつつあるのです。

今後始まるであろう新型コロナの「収束過程」と「その後」では、どのような認識の下にRPAを活用していくことが必要になるのでしょうか。

次回は、企業をめぐる環境の変化とRPAについて考えてみます。(2020.5.1

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◎出典・参考
*1 野口悠紀雄氏の記事、現代ビジネス 2020.4.5
*2 スンダー・ピチャイ氏の発言、朝日新聞デジタル 2020.4.29

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◎シリーズ|新型コロナとRPA◎CONTETS
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シリーズ|新型コロナとRPA(2)~RPAをめぐる経済環境の激変
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